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経営課題としての「物流」

企業経営において、物流は重要な機能です。

このことに異論を持つ経営者の方は殆どいないと思います。

しかし、多くの企業の物流現場を見てきた中で、一つ強く感じることがあります。

それは、物流を「重要」と認識していても、本当の意味で経営課題として向き合っている企業は決して多くないという事です。


■ 企業が物流に求めているもの


企業が物流に期待することは数多くあります。


  • 正確に商品を届けること

  • コストを抑えること

  • 人手不足に対応できること

  • 急な需要変動にも柔軟に対応できること


どれも企業活動を支えるためには欠かせない要素です。

一方で、経営者が日々向き合っている課題は、


  • 売上を伸ばすこと

  • 利益を確保すること

  • キャッシュフローを改善すること

  • 人材を育成すること

  • 新商品・新サービスを生み出すこと


当然ながら、これらは企業経営において優先順位の高いテーマです。

しかし、少し立ち止まって考えてみてください。

これらの経営課題は「物流」と切り離して考えられるのでしょうか。


■ 物流は、すべての経営課題を支える基盤


営業がどれだけ受注しても、商品を正確に届けられなければ売上にはなりません。

利益率を改善しようとしても、物流コストが増え続ければ利益は圧迫されます。

魅力的な新商品を開発しても、安定して供給できなければ市場からの評価は得られません。

人材育成も同じです。

現場が慢性的な人手不足や属人化に陥れば、管理者は日々の業務に追われ、人を育てる時間を失います。


つまり物流は、一つの部門ではありません。

売上・利益・人材・顧客満足を支える経営基盤そのものと言えるのです。


■ それでも物流は後回しになる


では、なぜ物流は経営課題として優先されにくいのでしょうか。

理由は決して「物流が軽視されている」からではありません。

物流が「問題が起きなければ目立たない存在」だからです。

営業の成果は数字で見えます。

新商品は話題になります。

設備投資も目に見える成果があります。

しかし物流は、何事もなく商品が届くことが当たり前。

滞りなく日々、回っている事を求められる存在です。


だからこそ、「取敢えず問題無く回っているし」という理由で後回しになりやすいのです。

その結果、物流が経営課題として議題となるのは、多くの場合、「放置できない大きな問題」が発生してからになります。


  • 協力会社が一斉に値上げをし、物流費が急激に上がった

  • 今迄の様に人が採用できなくなった

  • 突然、管理者や要のベテラン社員が退職した

  • 多品種小ロット化等で誤出荷が増えた

  • オーバーフローや老朽化で倉庫が限界を迎えた


こうなって初めて、「何とかしなければ」と動き始めます。

更に、その様な状態になってからでも「絆創膏」を貼る位の対処でお茶を濁そうとする企業も少なくありません。


・ 物流費高騰で採算の合わない販売ルートや商品が出ている

・ 人材派遣で人手不足を賄いつづけ、コストが膨らみ続けている

・ 営業や管理部門の人間が倉庫現場でいつも作業をしている

・ ミスやトラブルの対応で本来の仕事が手につかない

・ 商品が溢れ、倉庫の外で作業をしたり、外注する量が増え続けている

・ 雨漏りで使えない場所があり、一部在庫を外部に預けている

・ 保守期間がとっくに切れたマテハンを使い続け、とんでもない維持費が掛かっている


という様な状態にあっても、「何とかしないとな~」レベルの意識のままの会社を私はいくつも知っています。 


■ 問題が大きくなってからでは、選択肢は少ない


物流改革は、一朝一夕でできるものではありません。

倉庫を移転するにも時間が必要です。

システムを導入するにも、現場へ定着させるには半年、一年という時間がかかります。

人材育成であれば、さらに長い期間が必要でしょう。

ところが、問題が顕在化した時には、

「来月までに改善しないと」

「今年は予算がない」

「繁忙期だから止められない」

という新たな制約が次々に生まれます。

本来なら選べたはずの選択肢が消え、応急処置を積み重ねるしかなくなってしまうのです。


■ 物流は静かに会社の体力を奪っていく


物流は突然壊れるものではありません。

少しずつ歪みが積み重なり、ある日、経営課題として表面化します。

残業が増え続ける。

ベテランに仕事が集中する。

属人化が進む。

新人が育たない。

管理者が現場作業に追われる。

改善する余力がなくなる。


こうした状態が何年も続いた結果として、

「人が辞めた」

「物流費が上がった」

「品質が維持できなくなった」

という問題として現れるのです。

つまり、多くの物流トラブルは突然起きたのではありません。

数年前から始まっていた問題が、ようやく見える形になっただけなのです。


■ 本当に強い企業は、問題が起きる前に物流へ投資する


私はこれまで多くの物流改善に携わってきました。

その中で感じるのは、物流改革が成功する企業には共通点があるということです。

それは、問題が深刻化する前に物流を経営課題として捉え、手を打っていることです。

逆に、改革が難航する企業ほど、

「もっと早く相談して貰っていれば…」

という状況からスタートしています。

物流改革で最も失われやすいものは、お金だけではありません。 時間を失ってしまうのです。失われた時間は取り戻せません。

そして、その時間こそが、本来選べたはずの選択肢を一つずつ奪っていきます。


物流は、売上を直接生み出す部門ではありません。

しかし、売上を支え、利益を守り、人を育て、企業の成長を支える経営基盤です。

当然、経営基盤は「盤石」である事が望ましいです。 その経営基盤が揺らいでいるのに目をつぶったり、見て見ないフリをする様な事を続けていないでしょうか。


モノを売る事業を行う企業にとっては、会社の維持・成長に不可欠な「物流」。 貴方の会社は経営課題としてしっかり向き合っているでしょうか。


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