top of page

手遅れになる前に




先日、同業他社に身売りしたある物流企業の拠点にお邪魔する機会がありました。まだ身売りして間もなく、社名は変わったものの、スタッフも仕事も以前のままという状態でした。

その会社の役員さんに案内され、倉庫内を見せて頂いたのですが、身売りに至る理由がそこかしこに。


「これじゃー、収益上がる筈がない」


そう思いました。

価格競争に乗じて安い値段で仕事をとったものの、庫内業務はそれに呼応する様な工夫の形跡が見られない。


「身売りする前にやるべき事あったろうに。」


私の様な物流プロセスや物流改善に携わってきた人間が見れば、問題点の枚挙に暇がない状態。案内して頂いた役員さんも含め、今後既存のスタッフさんの去就は、親会社さんに委ねられる事になるでしょう。何とも悲しい気持ちになりました。


2024年、主要荷主の撤退でスケールを大きく縮小するとか、離職が止まらず人も入ってこず、現場が回らないとか、荷主への値上げ交渉もうまく行かず、赤字解消の見込みが立たないとか・・という話をよく聞く様になりました。


本当に運が悪いと思う様な例もありますが、「そうなる前に何故?」という・・現状を作るだけの大きな要因を持っている会社さんの方が多いのも事実です。


商売としての物流サービスにおいて、社員やスタッフこそが「サービスそのもの」であり、会社のビジョンや行動指針、それに伴う取組み・仕組み・制度等が風土を形成し、サービスの質やカラーを作りだす事となります。


日本の就業人口、約6700万人の内の3%、約200万人が物流業で就業しており、その内の90%以上の人がトラック運送業で働いている・・・というのがお国の調査データ。

(因みに、産業別に見ると就業者数が圧倒的に多いのが、製造業と流通・小売業で、双方とも1000万人以上が従事しているそうです。)


物を動かすのが物流ですから運送業の就業人口が一番多いのは当然。

多くの人は「物流」と聞けば「トラック」が思い浮かぶのではないでしょうか。

しかし、物流業において「庫内業務」に従事している人というのが、実は「一番多い」と私は思ってます。トラック運送業の中でも3PLや在庫管理も請け負っている会社さんは多いですから、ドライバー職より、拠点運営に携わってる職種の人の数の方が多いという事の方が殆どではないでしょうか。


A地点からB地点へ荷物を運ぶ為の最適解を出し、安全・正確で効率良い輸送を実現する運送の仕事は、最終的に1人のドライバー、または1台のトラックに仕事を委ねる事になります。それに対し、輸送の前後工程である庫内業務は、入出庫保管における一連の作業工程を複数人の連携で行います。フォークリフト運転者、ピッキングや梱包を行う荷役担当者。業務全般を管理する作業責任者や伝票等を発行する事務オペレーター。

非正規雇用も含めた就業者の数は圧倒的に多い筈です。


この物流拠点における「庫内業務」の存在により、物流は「労働集約産業」と言われます。


物流業は現在、深刻なドライバー不足、庫内業務では人件費の高騰、実態経済の悪さを象徴する様に荷物の動きが鈍化・・・と、非常に厳しい状況となっています。(円安で潤ってる会社さんと取引のある国際物流企業は別です。)


人に関わるコストを削減する、または人手不足を解消する・・という目的で「物流DX化」という言葉がもて囃されてます。しかし、中小企業が99%を占める物流業において、ロボテックやAI技術を導入した自動化を推し進め、対費用効果を出すというのは簡単な事ではありません。物流展を除けば一目瞭然ですが、製造業や流通・小売をターゲットにした様な技術が大半です。市場が大きいのだから当然です。


私はWMS(倉庫管理システム)を開発し、販売もしています。これは確実に庫内業務の効率化や荷主へのサービス向上につながり、対費用効果を生み出せるので、中小零細の企業においても有効だと思ってます。しかし、それ以外の部分では物流における最新のデジタル技術の導入は、まだまだ難しいと考えてます。

「そこに集う人」の力を活かす事でサービスを向上させ、収益率を上げ、会社を持続・発展させていく必要があります。


「労働集約産業」である以上、一つの物流会社には多くの人が従事しています。M &Aにしろ大幅な事業縮小にしろ、多くの人の人生に負の影響が出ます。その判断をする経営者も当然苦しい筈です。


複数の人の力を集結させ、最大の効果を上げるのが労働集約産業です。

多くの人がその組織に集っています。その集合体が「自社のサービスの姿」です。

経営者及び経営陣は、「集う人」達が相乗効果を出せる環境を作る必要があります。


上手く行ってない会社さんの多くはそこを理解していません。


部品の様に「人」を見ていたり、一部の「人」だけで会社を動かしてると考えていたり

「人」が育つ環境作りに関心がなかったり。

それは、サービスの質、業績、離職率・・という数字に表れてきます。


物流だけでなく、多くの業種業態の中小零細企業において、厳しい時代だと思います。

(当然私も当てはまりますが。。)

労働集約産業であり、サービス業である物流業においては、「集う人」こそが自社そのものであるという事を今一度考えてみてほしいです。

手遅れになる前に。

















 
 
 

コメント


©2023 by REYA PATEL. Proudly created with Wix.com

bottom of page