「国際物流総合展」と「おもてなし」
- zassoukh04
- 2022年9月21日
- 読了時間: 5分
「国際物流総合展」に今年も足を運んで来ました。最新の技術やトレンドを自分の目で確かめて、出展者さんのプレゼンを聞いて、来場者さん達のリアクションを見るのは勉強になるし、いつもワクワクします。
今年は「ロボットアーム」「無人搬送機」が目立ってました。
「ロボットアーム」はデバンニング、工場やメーカー物流でのパレット積みで活躍の場が多いだろうし、「無人搬送機」は、物流センターの大型化が進む最近の流れに於いて「作業動線の長さによる生産性の低下」対策にニーズがありそう。作業動線・・と言う部分ではキックボード何かも出店されてました。
当たり前ですが、「大手企業による大手企業の為」の、大掛かりで「近未来感」満載な、最新機器が注目を集めていました。これはこれで見ていて楽しいです。しかし、私が興味をそそられるのは、斬新な発想と、現場を理解した「成程アイディア商品」達です。
具体的な企業名は挙げられませんが、「中量棚の高さをもっと楽に有効的に使うには?」とか、「荷物を沢山乗せた台車を女性でも軽々と移動出来る様にするには?」とか、「オリコンで同業他社と差をつけるには?」等々。閃きと研究から編み出された「アイディア商品」を見ると嬉しくなってしまいます。
最近は特に「物流現場で何故I T化が進まないのか?」みたいな事を寄稿してるコラムを目にする機会が増えました。「紙の文化」が未だに主流なのは何故かという点への見解が繰り広げられてます。
私は、「お客さんに合わせる必要がある」と言うのが、一番大きい理由だと思ってます。
物流側がI T化したところで、肝心のお客さまがついて来れないのです。同感してくれる物流事業者の方は多いのでは無いかと勝手に思ってます。伝票一つとってもそうです。受領伝票に納品伝票。未だに印を押したりします。ドットプリンター、複写式伝票がマストだっていう流通形態だってゴロゴロ存在します。ドットプリンターはパソコンやスキャナーなんかより高い代物です。
これが「T o C」となれば、もっと大変な事になってます。スマホの操作だってママ成らない個人様なんて沢山居ます。電話での問い合わせや依頼事項に丁寧に応えて・・・と言う事だって日常茶飯事です。
出荷や入荷の指示・連絡をF A Xや電話でよこす様なお客さんだって星の数ほど存在します。
多くの物流企業に於いて、それに対応する事がサービスの一つとなってます。特に中小零細企業は、その「アナログ」な対応力が魅力の一つとなってたりもします。大企業が相手にしない様な案件を手間暇かけて、工夫してモノにしているのです。
だから物流企業の努力だけでD X化は進まないし、寧ろ進めたく無い・・という部分もあると感じてます。
私がよく知っている中堅物流企業さんで、以前から積極的に最新技術を導入している会社さんがあります。社長さんがチャレンジ精神旺盛で、物流拠点を「モデルルーム」の様に演出する事に力を入れているので、ある程度のリスクも覚悟の上でどんどん最新技術を取り入れています。
「対費用効果としては・・・どうだろうね。金銭面で言うとトントンかも知れないね。保守だ修理だって掛かるし、古くなれば機械ごと入替えだからね。ただ、利点としては荷主(お客さん)への説得力や品質の向上、そして何よりも現場で女性が活躍出来る事がドンドン増えていく。お陰で人手不足に困る事も他社と比べて少ないんじゃないかな。」その社長は、最新技術導入についてそう答えてくれました。
物流D X化のテーマともなっている人手不足解消に成功している例だと思います。
そんな会社さんでもアナログな部分や業務はまだまだ沢山存在しています。
F A X・電話での依頼に、複写式伝票。紙の出荷帳票や指示書・・・・。
請求書や請求明細書、在庫表等も紙での提出がマストな顧客が8割以上。パレット看板だって商品や数量は手書き。まだまだ紙の文化。
この会社さんは上手くアナログとデジタルを使い分かけてます。
物を作り、売り、届ける・・・と言う流れの最終工程である物流業は、上流にとって便利なサービスを提供する「サービス業」。「お客さん」そして「お客さんのお客さん」にとって最適な物流サービスを提供する事は、どんな企業だって存在意義として念頭にある事だと思います。
そんな「サービス業」であるものの、そこにお客さんの「嗜好性」が介入する余地はなく、徹底的にニーズに応え、且つ価格は安い方が良いという世界です。優雅さや豪華さ、拘りを価格に反映する事は不可能ですし、必要とされてません。「ホテル」や「旅館」とは違います。。寧ろ限りなく「便利屋」的要素を多く含んでます。
それでも「サービス業」として必要な事があります。
それが「おもてなし」の精神です。
前述した物流会社さんの売上は3桁億円。
社員教育と最新技術でお客さんを「おもてなし」しています。
凄いのは荷主から「撤退」を言われた事が殆んどない事。時代と共に変化しながら、徹底的に「人」の教育をしている事で、いつの時代も変わらない「満足感」をお客さんに提供し続けています。
社長さんが「おもてなし」という言葉を意識してるとは思えませんが、会社という組織全体が醸し出す姿勢、精神はまさに「おもてなし」。
時代は変化しています。
I Tや最新技術は「自社にとって何が必要か」で、導入検討すればいい事です。ツールでしか有りません。そのツールに使われてしまう事だけは避けた方がいいと思いますが、便利に使えるものでもあり、自社の価値を高めるものにもなり得ます。
私は、物流が「サービス業」である以上は、時代やお客様としっかり対峙した「おもてなし」を提供しないと、生き残る事は難しくなるとすら思ってます。
冒頭に記したアイディアが冴える新製品は、正に物流現場をしっかり研究した、現場従事者への「おもてなし」製品。そして最新技術同様に「今」という時代を捉えてると感じました。
それを開発したのは「人」。
おもてなし精神を持ち、お客さんである「物流現場」と真剣に対峙し、自社の商品を開発した「人」です。こういう企業に対し、お客さんは色んな相談を持ちかけるだろうなと私は思います。少なくとも私なら相談します。それが時代のニーズを吸収し、変化に呼応する事に結び付きます。
サービスを利用するお客さんが「同時代に生きている人」である以上、「変化」しないと「変わらない」魅力を提供し続けられません。それが「おもてなし」の心を持ったサービス業としての物流のあるべき姿だと私は思います。
物流総合展を歩きながら、そんな事を考えました。
小泉洋之







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