「マジメ」と「マジ」
- zassoukh04
- 2022年11月30日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年12月9日

クライアント様からあるメールの文章を見て欲しいと頼まれました。
「〇〇(数量)位の■■(作業名)が入るかも知れないのですが対応できますか?」
という様な内容でした。
クライアント様の得意先である元請け会社の担当者からのメールです。
クライアント様と、この担当者は2〜3年の付き合いになるそうです。
このメール、どうしてクライアントさんが私に見せたかというと、その元請け会社は私と深く関わりのある会社であり、その担当者の事も知ってます。
なので私ならこのメールに潜む問題を理解してくれるだろうと思ったからです。
このメールは問題だらけです。大まかにでもスケジュールが掴める情報が無いし、作業の内容に関する情報も無い。最低でも大まかな時期の情報があれば、クライアント様も、ある程度の回答は出来ますが、これではどうにもなりません。
まして繁忙シーズンに突入してる時期に、下手な回答は出来る筈もない。
結局クライアント様は、「いつ頃の話でどの位時間を貰えるのか」という質問を返す事になります。
元請け会社の担当者は、依頼主であるお客様へそれを確認するのかも知れないし、既に情報を持っているのにクライアント様に提供してないのかも知れませんが、何にせよ依頼主への回答は相当遅くなる。
少なくとも依頼主からも「対応力」という面での評価は得られません。
「彼は真面目なんですけどね。。」
クライアント様の呟きで、20年程前のある出来事を思い出しました。
当時私は、在籍していた会社で社長の直属となる部署に勤務していました。
社長が得意先に表敬訪問する際、私を同行させてくれた時の話です。
先方のご担当者さんとの談話も終わり、そろそろ失礼しようとした時に、先方の担当役員さんが挨拶に来られました。
帰り際、
「〇〇さんの社員さんは皆さんホントに真面目で素晴らしいですね。」
先方の役員さんが笑顔で社長に言いました。
社長は「ありがとうございます。」と深くお礼をし、得意先のオフィスを後にしました。
オフィスを出た後、私は先方の役員からも褒められて社長はさぞかし喜んでるだろうと、社長の表情を確認しました。
すると、社長は顔を真っ赤にして怒りを抑えてました。
その後、喫茶店で一服してる時、社長は呟きました。
「真面目ってのはな、褒め言葉じゃ無いんだよ。取り柄が無いってこった。物流屋がお客様に対して真面目に接するなんてのは当たり前じゃないか。」
これを聞いて私は衝撃を受けました。
「真面目」と言われた事がない私は「真面目」とは「褒め言葉」としか思ってませんでした。先方の役員も褒め言葉として使ってたのは間違いありません。
しかし社長は褒められたと捉えていませんでした。
真面目は当たり前、むしろ真面目なんて評価は要らない。そんなんじゃダメだと。
今なら解ります。社長が役員さんから欲しかった言葉は「信頼」「信用」なんだと。
社長は帰社後、この得意先の担当責任者を呼び出して打合せを行っていました。
得意先の役員の言葉に「危険性」を感じたのでしょう。
物流会社には「真面目」な人が多いと私は思います。特に現場に於いては求めれる要素でもあると思ってます。お客様との約束事をきっちり守り、決められた手順で業務を遂行する必要があるからです。
しかしその反面、「真剣さ」が欠如する危険性を持っています。
決められた事を守る ⇨ 習慣化する ⇨ 考えたり、感情移入をしなくなる
いわゆる思考停止状態になる危険があるのです。
朝起きて歯を磨くのにアレコレ考えないのと同じです。
前述した元請け会社の担当者も、どこかの段階で自身の担当業務に「真剣さ」を注入出来なくなってしまったのではと感じます。
「絶対に死ぬまで虫歯にならない」とか「誰よりも白い歯を維持する」と言った高い目標を持って歯を磨かない限りは、真剣に一本一本を磨く事は無いでしょうし、より良い方法を考える事も無いでしょう。
仕事も同様です。
元請け会社の担当者が「才能」が無いのではありません。
「真剣」に取り組む理由・目的・目標が不足してるのではと思うのです。
普通に考えれば納期も時期もはっきりしない案件に、出来る・出来ないの判断がつかない事くらい分かるでしょう。自分が返事出来るか考えれば判る事です。
それすら欠くという事は、元請け会社での彼の仕事に「心」が入ってない事が伺えます。
思考停止です。

組織は「真剣」を引き出す環境作りが大切です。その組織によって必要とされる要素や方法は異なりますし、「個人差」もある事から一朝一夕に出来る事ではないかも知れません。
しかし、ルールや手順を固めてマニュアル化された業務をこなす「真面目さ」だけでは、上記のような教えられた事、ルールにない事が発生すると「当たり前」の事すら出来ないという事態を起こします。
「真剣」「真摯」は人の心を打ちます。「マジ」が「信頼」「信用」へと繋がります。
組織はそれを引き出す「環境」を演出する事が大事だと私は考えます。






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